ヘビを食べるんですよ。そのヘビはマムシでなきゃダメで、捕まえてきたそれを、父が、骨と内臓とお肉に分けるのです。骨は、ぷつんぷつんと切って、囲炉裏に置かれた「わたし」に並べてカリカリに焼きます。内臓は串に巻き、お肉は串に刺して、これも囲炉裏で焼きます。これがおいしくて、早く焼けないかなあと待ちわびて、我先に、取り合いっこしました。内臓は苦いので、私はお肉が好きでした。味は、鶏肉みたいなかんじかな。
ヘビの頭付きの剥いた皮は、干して、お酒が入った一升瓶に漬けて置きます。こうしてできた液体は、熱さましや傷によく効きました。すごく強い臭いがするので、私は使いませんでしたが、父や母の世代までは、よく使っていたようです。数年前の、3.12の大地震で、家が大変なことになり、片付けに通いましたが、その際、年代物のヘビの一升瓶がたくさん見つかりました。
今では、私の故郷でも、ヘビを食べることはないようです。
(昭和30年代・長野県)