第87話 伝書バトを保護しました

 伝書バトを保護しました。子供がまだ小さかった頃、図書館の庭で、ムクゲの木の植え込みの足もとに、動いているものを見つけました。猫の赤ちゃんかなと思ったら、それは、ハトでした。足には、金属のリングが付けられていて、ケガはしていない様に見えますが、逃げようとしません。猫にやられたら危険だと思い、図書館で段ボール箱をもらい、家に連れて帰りました。

 よく見たら、足のリングに電話番号が書いてあります。すぐに電話をすると、持ち主は、市川市在住の男性でした。どうやら、数日前に、ここから40~50キロ離れた場所で開催された鳩レースに参加したハトの内の1羽らしいということでした。3羽が、戻って来なかったそう。「猛禽類にやられたのではないかと思っていた」とのこと。外傷はなく、ぐったりもしていないと伝えたところ、「すぐに迎えに行きます!」、と言う返事でした。申し伝えた場所で待っていると、初老の男性が乗用車で現れました。

 「確かにうちの鳥です。」多分、骨折しているのだろう、敵から逃げようとして何かにぶつかったのかもしれない、とのこと。「1羽1羽が、僕にとって大事な鳥なんです。」、と言って、連れて帰って行きました。回復するだろう、ということでした。

 その後、子どもたちと鳩レースについて一緒に調べました。夕方、ハトの大群が飛んでいることがありました。訓練をしてたんだなあ、とわかりました。

 (平成10年頃・千葉県)

※この文章は、話者により、加筆修正してあります。

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