中学の同じ柔道部の同級生(中途半端なヤンキーだった)が、家で闘犬用の犬を飼っていた。そいつんちの玄関の前の駐車場には、大きな柵があって、四角く囲まれていて、上は開いている。広さは恐らく2㎡位で、その中に犬小屋があった。
そいつんちに、たまに学校帰りに遊びに行くんだけど、遊びに行くと、その犬に餌をあげる。大きな銀色のボウルに食パンの耳を山盛りにして、柵の中に入れるんだけど、まず上からボウルを入れて、柵の間からもう片方の手でそれを受け取り、下まで下ろす。「ちょっと、お前もやってみろよ」と言われるんだけど、怖いわけよ。ただでさえ、犬嫌いだしさ。でもとにかく、ビビりながら餌を下ろして、ワッと手を引っ込める。実際、犬は、のそのそとやってきて、もそもそと食べるだけ。飛びつくことはないんだけど。
でかい犬なのに、パンの耳しか食べていないので、お腹がすかないのかなあと思ってた。毛は茶色で、とにかく大きかった。犬種は聞いたような気がするけど、覚えていないんだ。
(昭和60年代・神奈川県)