第1話 魂を運んでくるもの

不思議なことに、蝶々が、家の中に迷い込んでくると、きまって、親せきの訃報が入ってくるのだ。だから、私は、蝶々が、家の中に入ってくると、あわてて、外へと追い出す。

こんなこともあった。お葬式の間中、蝶々が、遺族のそばをまとわりついて離れない。あれは、故人の魂ではなかったか。蝶々は、魂を運んでくるものだと思われてくるのだ。

(平成30年・東京都)