第4話 飼い猫の形見

僕が中学生だったから、30年以上前のこと。先生が、突然、授業中に話し出した。

飼い猫が死んで、あまりに悲しく、あまりに離れがたかったから、愛猫の毛皮を、小さく切り抜いて、肌身離さず持ち歩いているのです。

見せてくれたそれは、灰色と白色の縞模様で、一片の布切れのように見えた。

(昭和50年代・神奈川県)

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA