第11話 春が来る少し前 

僕の家は、石川県の米農家でした。春が来る少し前になると、農耕馬を借りてきます。どんぐりとした農耕馬は、よく働き、田んぼを耕したり、荷物を運んだりと、重要な役割を果たしていました。

毎年、違う馬がやってきますので、慣らすまでが大変でしたが、子どもの自分も、馬に乗って、綱を操り、荷物を運ぶのを手伝っていました。

農耕馬が家にいるのは、秋までで、冬になるころには、また厩舎に、戻ってゆきます。

(昭和20年代・石川県)

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