第19話 大切などうぶつたち

子供の頃からずっと、動物を飼いたいと、思っていたのよ。でも、社宅だったし、母が動物を飼いたがらない人だったから、飼えなかったの。

でも、いつかは、と思っていて、結婚してから、ハムスターを飼ったのね。ジャンガリアンっていう種類のね。むかいの家の親子も、同じハムスターを、飼っていて、旅行に行くっていうので預かったら、よりによって、その日に、死んじゃったの!娘と私は、大泣きして、謝ったわ。その親子はさっぱりした人で、怒りはしなかったけど、ハムスターが死んだことへの、あまりのショックと、申し訳なさで、とにかく涙がでてしまって。うちのハムスターの方は、10匹くらい子どもを産んだかな。娘の友だちにあげたりしたわね。

次に飼ったのは、うさぎね。白色で、目が赤くて、「ミルク」という名前。頭をなでられるのが、すごく好きだった。でも、突然、死んでしまったのよ。病院に連れて行ったら、そういう病院だったのね、検査をすごくされて。痛い思いをさせて、かわいそうだったと思う。うさぎって、寂しいと死ぬっていうでしょ?ひとりにさせてて、悪かったなって、その時、思ったのを、覚えてる。お寺で火葬して、お墓にいれてもらったのよ。

一軒家に引っ越して、いつか飼いたいと思っていた犬を、飼えることになって、ミニチュアダックスフンドを、飼い始めたのよ。黒色をしたオスで、名前は「ルフィー」。彼の性格は、きむずかしい、という表現が、ぴったりね。私以外が、抱っこすると、ウーって、うなるのよ。もうすぐ17歳になるわね。白内障で、目がよく見えていないのに、私の存在は、わかるみたい。娘も、「ママのことはわかるのねえ。」と、言ってた。認知症の症状がでてきてて、部屋の中を、ぐるぐる回ったりしてる。それなのに、おしっこは、私が帰るまで我慢していて、戻ったのを確認してから、するのよね。おしっこシートなのにね。

ルフィーが10歳の頃に、トイプードルの「ココ」を飼い始めたわ。その2年後に、もっと小さいトイプードルの「リリ」を、飼いはじめたわね。ココは、焼きもちやきで、リリは、気が強い。二人は、仲があまりよくないわ。ルフィーといえば、二人には、無関心ね。

この子たちは、子どもみたいなものね。甘えてくれるし、癒されるわ。動物のいのちを一生、面倒を見ていくというのは、簡単なことではないけど、私は、大変だと思ったことはないわね。

動物を飼いたいと、小さいころから思っていて、それを叶えることができた。今じゃ、犬を3匹も飼っているけど、家族への説得は、上手いことやったと思うわね。

(平成・東京都)

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