息子がお腹にいた頃、飼っていたミニウサギを、サロペットのポケットに入れて、夫と一緒に、運動場まで、散歩に連れて行ったことがある。
さて着いたところで、運動場に放したとたん、リードをはずした犬が、猛スピードで、ウサギめがけて、走ってきた。逃げるウサギを、犬は追いかける。すると、すごい剣幕で、夫が犬を、追いかけだしたのである。あわてたのは、犬の飼い主で、うちの犬がやられる、と思ったんじゃないだろうか。
私はそれを見て、ああ、意外とこの人は、家族を守ろうとしてくれる人なのかもしれないなあ、と思ったのだ。
ウサギは、コンクリートの陰に隠れて、無事でした。
(昭和60年代・東京都)