第43話 こどものうわさ

僕が10歳だったころ、住んでいた町のとなり駅は、動物の名まえがついていました。当時、友だちの間でうわさが流れていました。「あの駅の近くには、と殺場がある。」

最近になって気にかかり、ネットで検索をしてみましたが、そんな事実は載っていません。でも、自分は、見に行った気がするのです。皮を剥がされた動物が、一頭まるごと吊るされて、何頭も、ある!

駅は、無人駅でした。子どもながらに恐ろしかった。あの辺りには近づくな、といった気配がありました。「いやなものが、あるから」と、いう様な。

大人になった今、と殺場ではなく、別のことが、暗喩としてあったのではないかと、なんとなく思います。

(昭和50~60年代)

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