第112話 生まれ変わりの

 3歳の飼い猫が、一年ほど前に病気で死んでしまった。お腹に水が溜まってしまう病気で、コロナで配られた給付金(二人分)をつぎ込んで治療したけれど、結局、助からなかった。

 奥さんが法事で実家に帰った時に拾ってきた猫だった。顔がまん丸くて、靴下をはいていた。夜は一緒の布団で眠る。朝になると高い所に登って、そこにあるもの手あたり次第、落として起こそうとする。座っているとひざに乗ってくる。抱っこすると全身の力を抜いて、まるで砂袋や水袋の様に、ぐたーっと体をあずけてくる。それがすごく可愛かった。

 休みの日には自転車に乗って、写真撮影がてら、あちこちふらふら行って、あの子の生まれ変わりの猫を探している。暇だから、時間はあるんですよ。でも、最近は、子猫自体を見ないね。自治体で(対策を)やってるからかね。(今まで、たくさんの猫を飼ってきた中で、生まれ変わりだと思えるような猫に出会ったような体験はあるんですか?)そういうことは、今までないんですよ。(スマホの画像を見せてくれた。顔がまん丸で、緑色の大きな目をした可愛い猫だった。)

(令和3年・千葉県)

※話者と同僚の会話を、話者から伝え聞いたものです。同僚の方からは、掲載の許可を頂いています。

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