おじいちゃんの家は、大きなかやぶき屋根のお家で、広い庭もありました。おじいちゃんは、かつて校長先生をやっていて、馬に乗って通勤をしていました。家の土間の横には馬小屋があって、馬が3頭いたそうです。私が物心ついた頃には、馬小屋ではなく、漬物小屋になっていました。戸を開けるとすぐに柵があったので、なんで柵があるのかなと、ずっと不思議に思っていました。
そのおじいちゃんは、私が生まれる前(昭和30年代より前)に、馬から転落して、半身不随になりました。ですから、私が覚えているおじいちゃんは横になっていて、学校で賞状などをもらうと、私は急いで見せに行き、それを見たおじいちゃんは、足もとにあった巾着袋を、孫の手でずりずりひっぱって、その中から、500円札をくれました。それが、すごくうれしかったのです。
(昭和後期・青森県弘前市)