縫子をしていたおばちゃん(母の姉)は、お裁縫をしながら、「むかし、むかし、あるところに、おじいちゃんとおばあちゃんがいました…、」と桃太郎の話を、飼っていたインコの「タロウチャン」に聞かせていました。その話を覚えたタロウチャンは、鳥かごのぴかぴか光る持ち手をのぞきこみ、そこに映った自分の顔を、お友達だと勘違いして、桃太郎の話を話し出すのです。でも、なぜか、「ムカシ、ムカシ、アルトコロニ、オジイチャント…(だまりこむ)…ガ、イマシタ…、」と、必ず、「オバアチャン」を、言わずに抜かすのです。そして、機嫌のいい時だけ、単体で、「オバアチャン!オバアチャン!」と言うのです。
おばちゃんは、タロウチャンの後に、もう一羽、「ジロウチャン」を飼いました。タロウチャンは、ジロウチャンに、桃太郎の話を話して聞かせ、ついに、ジロウチャンも、桃太郎の話をしゃべれるようになったそうです。
(昭和40年代・青森県弘前市)