おばあちゃんちでは、カメを飼っていました。地元の祭りで買ってきた陸ガメで、長~いひもをつけて、外で放し飼いにされていました。
ヒモは、5~6メートルくらいの長さで、甲羅の端っこに小さな穴をあけて針金の輪っかを付け、そこにヒモを通し、玄関の柱に結び付けていました。カメは、ヒモが届く範囲で自由に動き、ミミズなど好きなものを食べていました。遊びに来た子どもたちが、ふざけてヒモをひっぱると、カメは、ガーーッと引きずられてきて、でもまた、しばらくすると、好きなところに、行きます。
冬が来て、カメはどこ?と思う頃には、雪が積もり、どこにいるかわからなくなります。どうやらカメは、縁の下に穴を掘って、冬眠していたようです。春になると(5月くらい)、ヒモがうにょうにょしはじめて、出てきたなとわかります。
カメは、30~40年ほど、生きていましたが、ある日、ヒモをひっぱたら、ヒモしか出てきませんでした。なにかに食われたんじゃないか、という話になりました。
(昭和50年代・青森県弘前市)