第7話 猫は家につく

住み慣れた三鷹の家を建て替えることになって、しばらくの間、私たち家族と飼い猫のべんちゃんは、西荻窪に仮住まいすることになりました。そんなある日、べんちゃんが、いなくなってしまったのです。心配した家族は、探し回りました。すると、なんとべんちゃんは、ひとりで、三鷹の家に、帰っていたのです。べんちゃんは、骨組みの建てかけのその家に、ちょこんと座っていたそうです。

その後、母は餌をやりに三鷹の家に通うことになったのですが、べんちゃんは、大工さんやご近所さんにとてもかわいがられ、まんまる太って、ついには、まるたんぼうの様になっていました。

べんちゃんはこの三鷹の家で20年以上を過ごし、息をひきとりました。

(平成・東京都)

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