家の前の駐車場に、大勢のカラスが集まっていたので、不思議に思って見てみると、止めてあった車の下に、子猫がいるのが見えました。水たまりの中に、黒いなにかがむくむくと伸びていて、(それはまるでジブリ映画のワンシーンの様でしたが)、そこから、ミーミーと鳴く声が聞こえてくるのです。近寄って、その子猫を抱き上げてやると、まだ目も明いておらず、体はびしょびしょに濡れています。どうやら、水たまりは破水の跡で、母猫は、生まれたばかりの子猫を置いて、どこかへ行ってしまった様子でした。
保護した子猫は、ミーミーとよく鳴くので、ミーちゃんと娘が名付けました。30分おきに鳴きだすので、その度に、猫用ミルクを与えます。小さな体を支えてあげて、小さな注射器で、飲ませてあげるのです。獣医さんから、北海道は春でも冷えるので温めてあげるようにと助言を受けて、人肌のお湯の入ったペットボトルを、そばに置いてあげました。
娘に猫アレルギーがあるため、新しい飼い主を探したところ、友人の友人が手を上げてくれました。ミーちゃんは、2日間、家で保護していましたが、手放すとき、娘は泣いていました。
それから、しばらくして、友人からミーちゃんが亡くなったことを聞きました。引き渡した後、ミーちゃんの体調が悪くなり、獣医さんに見てもらうと、頭蓋骨が割れている、と診断されたそうです。獣医さんが言うには、親猫はその子が育つか育たないか分かるから、置いて行った時点で、もうだめだったのかもしれないね、とのことでした。今思えば、ずっと鳴いていたのは、調子が悪かったからかもしれません。
久しぶりにミーちゃんの写真を見つけて、このことを、思い出しました。ミーちゃんは、すっごくかわいかったです。ものすごくかわいかったです。
(平成15年頃・北海道)