作は「ざわざわ森のがんこちゃん」の末吉暁子さん。絵はイラストレーターの大橋歩さんです。がんこちゃんとフォルムは似ていますが、これはまた別のおはなしで…
魔法使いのテレビ番組を見ていたみちこと妹のミミが、「かいじゅになりたい!」「カエルになりたい!」と叫ぶと、なんと二人は突然変身してしまい… 。お母さんとお父さんを巻き込んで、日常的で日常的でないドタバタな一週間が始まります。
今日も一日、明日からも毎日いつもの自分かあと思うと、うんざりしてしまう時ってあります。それに比べて、本の中の登場人物たちは、ここではない場所で突拍子もないことが起こって、それでもめげずに楽しく乗り越えていく。かいじゅうになった女の子も初めは驚きますが、その後はカラッと受け入れて楽しいことに邁進していきます。大人の方が慌てふためいているくらいで、でもそうして女の子を守っているんですね。
好奇心や空想力を刺激してくれた物語たちは、話し出す動物や架空の生きもの、人間だとしてもあり得ない設定で、私をワクワクさせてくれました。現実はあまりに厳しく複雑なので、人間世界を超えた存在が、心を解放し自由にさせてくれていたのだと思います。
まあそんなこと考えなくても、この本は子どもが大好きな一冊になるであろう傑作です。