私の父は、頭にランプをつけ、銛を持って、よく夜釣りに行った。大抵は、魚やカニや海老、貝などを、食べるために獲ってくるのだが、まれに、ヘビを獲りに行くときもあった。つかまえてきたヘビは、火ばさみで、あたまをパチンと挟んで、一升びんに、頭から突っ込んで入れる。一升びんには、お酒が入っているから、苦しいヘビは、びんの首あたりの、空気のあるところに、あたまを出す。そのびんは、流しの下に置いてあって、ヘビは出てきやしないのだけど、怖かった。一升びんのヘビは、薬として、売られる。
(昭和20年代・佐賀県)