第71話 土手の鯉

 家のわきを流れる川には、鯉が泳いでいる。ある時、自分の子と近所の子たちに、「母の日だから、いいとこ連れて行ってあげる。」と言われて、土手に連れていかれた。すると、そこには、穴が掘ってあって、鯉がピッタンパッタンしている。どうやら、池をみたてて穴を掘り水を張って鯉を泳がせたようなのだが、土は水を吸い込み、このような姿になってしまったらしい。私は、「かわいそうだから。」と言うのだが、子どもらは「だいじょぶだから。」と言う。やはり、翌日、死んでしまっているのだが。

(昭和50~60年代・埼玉県)

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