あれは、幼稚園か、6~7才の、まだちっちゃかった頃、だからそんなことしてしまって…。家の近くに、唯一犬を飼っている家があって、その犬に会いに、幼なじみと二人で行きました。それは寒い季節で、犬小屋の前にいる犬を見て、私は、「犬もさぞかし寒いだろうなあ。」と思って、犬の背中に、自分が着ていた手編みのニットのチョッキを、フワーンとかけたんです。すると、犬が、前足をあげて、ワァーン!と、びっくりして立ち上がり、吠えたのです。私たちは、ニットはそのまま、落ちたまま、逃げました。多分、その後、親が取りに行ったと思います。それで、それが怖すぎて、犬がダメになりました。
しばらくたってから、ハッと気がついた瞬間がありました。今のだんなさんと、「犬とどう接したらいいかわからない。温かくしてあげたのになぜ…」と話していた時、ハッと。「あの時、犬の背中には静電気が起きていたのかもしれない…。静電気で、ビリっとしたんじゃないか!」私は、腑に落ちました。
でも、今も、わからないまま。私は、犬との接し方を、見失ったままです。
(昭和50年代・岩手県沿岸の小さな町)