カテゴリー: 昭和中期
第36話 セミを飛ばす
男の子たちのように、虫を捕まえて遊ぶようなことは、あまりしなかったな。家の中で、ままごとをすることの方が多かったのよ。 そういえば、セミに糸を結んで、片方を自分で持って、うちの中で飛ばしたりはしてたわね。 (昭和30年代...
第35話 牛の角から
当時、近所では、農耕用の牛が飼われていて、田んぼや畑を耕したり、荷物を運んだりしていました。道を歩いていると、その農耕牛の糞がそこいらに落ちていて、そのまま、ほっとかれていましたが、そんなのは、慣れっこです。 ある時、黒...
第34話 クワガタのケンカ
その頃は、横浜にも、たくさんの田んぼや雑木林がありました。家も、集落ごとにポツポツある程度です。 小学生のころ、僕たちは、山へ、昆虫をとりに行っていました。当時、クワガタもカブトムシも、本当にたくさんいました。 僕は、カ...
第33話 イナゴとり
私の故郷の家の周りには、たくさんの畑や田んぼがありました。夏も終わりに近づくと、学校で「3年生は、今日はイナゴとりです!」と発表されます。(その日によって、学年が変わります。)私は、母に作ってもらった手ぬぐいの袋に、イナ...
第12話 動物のいる風景
細い道から少し降りたところに、僕の家はありました。屋敷内には、母屋と納屋と、手前に蔵が建っており、自給のための小さな畑もありました。 庭では、にわとりが、母がほうった米や麦を、つついてはウロウロと歩き回っています。おこぼ...
第11話 春が来る少し前
僕の家は、石川県の米農家でした。春が来る少し前になると、農耕馬を借りてきます。どんぐりとした農耕馬は、よく働き、田んぼを耕したり、荷物を運んだりと、重要な役割を果たしていました。 毎年、違う馬がやってきますので、慣らすま...