第91話 タビとナツのおはなし~番外編・姉より~
第66話「タビとナツのおはなし」の番外編/飼い主の姉妹がタビとナツの近況を描きました。こちらを描いたのは姉(中学3年生)。
(令和2年・埼玉県)
2匹の近影・日だまりにて
猫たちの写真は、姉妹のお母さんが撮ってくれたものです。
第90話 タビとナツのおはなし~番外編・妹より~
第66話「タビとナツのおはなし」の番外編/飼い主の姉妹がタビとナツの近況を描きました。こちらを描いたのは妹(小学校6年生)。
(令和2年・埼玉県)
おまけ編
第89話 ルルちゃんの話
商店街に買い物に行った主人と子供から、電話がかかってきました。リスの様なネズミの様な生きものがいると言うのです。その生き物は、駐車場でおばあさんにもらった食パンを両手に持って食べていて、集まっている子どもたちの話では、しっぽをカラスにつつかれてかわいそうだ、とのこと。
その説明から、プレリードッグではないかと思いました。「放っておいたら危ないから、だれか飼えないの?」と聞きましたが、皆、飼えないと言ってるらしい。猫用のキャリーバックを持って行きました。まだ赤ちゃんのように見えました。手のひらより少し大きいくらいです。「連れて帰っていいですか?」と聞いたら、「飼ってくれる人がいて、これで安心だね」と、おばあさんや子ども達と別れました。
家に連れて帰りパソコンで調べると、北米に住んでいてイネ科の植物を好むことが分かりました。
次に、警察に連絡を入れました。拾得物にあたるからです。今のところ、届け出はないとのことでした。それから、動物病院に相談し、「飼いたいという人がいたら連絡してくれる」、ということになりました。動物病院の人が言うには、(プレリードッグが)ウイルスを持っていると報道されたことで、捨てる人が増えているらしいのです。
上野動物園にも、引き取ってもらえないかと電話をしましたが、「プレリードッグは、ファミリーで成り立っているので、新参者は受けつけない」とのこと。「ご自分で飼われたらどうですか?」と勧められ、食べさせるものなど詳しく教えてもらいました。「捨てられたものだろうから、きっと慣れますよ。」
教わった通り、新聞紙を短冊にしたものをケージに入れてやると、プレリードッグは、自分で寝床やトイレを作りました。「ルル」と名前をつけました。ルルちゃんは、次第に慣れて、指をなめたり、飼っていた黒猫のお腹の上で眠ったりするようになりました。動物って不思議なものですよね。猫の方も、ルルちゃんをなめてやっていました。
プレリードッグは、げっ歯類なので、大きな歯があります。家具をかじるので、売っていたプレリードッグ用の木のおもちゃを与えてみると、うれしそうにバリバリかじりました。しかし、次の日、うずくまってご飯を食べません。口の中を見ると木のトゲが刺さっています。急いで、動物病院に連れて行くと、「そんなモノは与えてはダメだよ。」と怒られました。それから、トゲを抜くために、(私が)抱っこして、口を開けて、ピンセットで全部取ってもらいました。その先生は、東大のプレリードッグの専門の先生でした。「こんなにおとなしいプレリードッグは見たことない。普通、口を開けさせることなんてないよ。変なプレリードッグだな。」と笑っていました。
飼い始めた次の年のある日の朝、ケージの中が、フワフワになった新聞紙で、ぱんぱんになっています。不思議に思い、カゴの中に手を入れると、いきなり飛びかかって噛んだのです。噛まれた人差し指はまるでナイフで切ったようでした。動物病院に連絡して聞くと、「発情期だよ。」とのこと。オスだということも分かりました。発情期は、飲まず食わずになるので、水だけ与えてください、と言われました。この時期のルルちゃんは、いつものつぶらな瞳ではなく、するどい目つきになり、ギョロギョロしているのです。「ギギギギギギーッ」と、金網に飛びついて鳴き、家族のだれをも近づけないのです。年に1回程ありました。
そんなかわいいルルちゃんは、7年半、生きました。大好物はかぼちゃの種でした。笹の葉が大好きで、猫じゃらしの実も大好きでした。いつも食べすぎてまるまる太っていましたが、最期は、食も細くなり、寝ている日々が続き、やせ細り、眠るように息を引き取りました。
(平成12~13年頃・千葉県)
※この文章は、話し手により加筆・修正してあります。
第88話 蜂と人
蜂は、天与の虫と言われているんですよ。宗教や国に関係なく、聖書や古事記など、多くの書物や絵画のモチーフとして描かれ、人と密接に繋がってきたことが分かります。養蜂は、1万年も前からある仕事と言われ、スペインのアラニア洞窟には、ハニーハントのシーンが描かれていて、蜂から蜂蜜を採取していた証拠のひとつと言われています。FRP素材を使って、蜂蜜屋のお店の中に、アラニア洞窟の壁画を再現している知り合いのおじちゃんもいるんですよ。蜂関係の人は、情熱的な人が多いですね。
私は、以前、本を作る仕事をしていて、それで師匠に会った時に、養蜂の仕事の魅力を知りました。師匠は盛岡市で養蜂をしており、100年以上の歴史があります。
蜂は怖いと言われていますが、本当は優しい生き物です。お世話する時も、優しく接すれば、全く刺すことはありません。蜂に、ちょっとどいてほしいときに、指で、ちょんちょんとすると、どいてくれるんですよ。優しいなと思います。
また、蜂は蜂蜜を生産するだけと思われがちですが、環境を整えてくれる役割もしています。蜂が花粉を運ぶことで、自然の植物はもちろん、多くの農産物も、授粉し、その実をおいしく実らせることができます。このように、私たち人間は、蜂からたくさんの恩恵を受けています。しかしながら、その様な背景があることを、多くの人たちは知らないのです。例えば、イチゴの形がシンメトリーなのは、蜂がおしべの周りを、クルクル回って、授粉してくれるからなんですよ。人の手で授粉させても、そうきれいな形にはなりません。イチゴ農家の多くは、養蜂家から蜂を借りて、授粉を行っています。意図せず、蜂のふわふわとした体に花粉がついて、それを運ぶことで、合理的に、農産物の授粉が行われるのです。
今、日本では、昆虫が激減しています。在来種のニホンミツバチだけでは、農作物がまかえないくらいになっています。そのため、養蜂家が飼育する外来種のセイヨウミツバチも、大切な存在なのです。
蜂を飼うには、地域住民の理解が必要です。やはり、蜂は危ないと思う方が多いのです。でも、そうじゃないんだと知ってもらいたい。これからは、養蜂の仕事だけでなく、蜂の良さを広める活動にも力を入れていきたいと思っています。
(令和2年・東京都/養蜂家)
第87話 伝書バトを保護しました
伝書バトを保護しました。子供がまだ小さかった頃、図書館の庭で、ムクゲの木の植え込みの足もとに、動いているものを見つけました。猫の赤ちゃんかなと思ったら、それは、ハトでした。足には、金属のリングが付けられていて、ケガはしていない様に見えますが、逃げようとしません。猫にやられたら危険だと思い、図書館で段ボール箱をもらい、家に連れて帰りました。
よく見たら、足のリングに電話番号が書いてあります。すぐに電話をすると、持ち主は、市川市在住の男性でした。どうやら、数日前に、ここから40~50キロ離れた場所で開催された鳩レースに参加したハトの内の1羽らしいということでした。3羽が、戻って来なかったそう。「猛禽類にやられたのではないかと思っていた」とのこと。外傷はなく、ぐったりもしていないと伝えたところ、「すぐに迎えに行きます!」、と言う返事でした。申し伝えた場所で待っていると、初老の男性が乗用車で現れました。
「確かにうちの鳥です。」多分、骨折しているのだろう、敵から逃げようとして何かにぶつかったのかもしれない、とのこと。「1羽1羽が、僕にとって大事な鳥なんです。」、と言って、連れて帰って行きました。回復するだろう、ということでした。
その後、子どもたちと鳩レースについて一緒に調べました。夕方、ハトの大群が飛んでいることがありました。訓練をしてたんだなあ、とわかりました。
(平成10年頃・千葉県)
※この文章は、話者により、加筆修正してあります。