追記

このブログは、採話からスタートしました。現在は、動物に関する本や雑貨、場所などを主に紹介しています。また少しずつ、採話も再開したいと考えています。タイトルとはずれてしまっていますが、気長にお付き合い頂けましたら有難く存じます。今後ともよろしくお願い致します。

採話をご覧になる場合は、カテゴリーの「採話」をクリックしてください。

はじめに

このブログは、動物と人に関するエピソードを、話者より聞き取り、それをもとに、再構成したものです。人の記憶の中にある風景や、動物と人の関係を、イメージの中で、共有できましたら幸いです。

あくまでも話者の記憶に基づいておりますので、客観的事実と異なる場合があります。また、今日からみれば、適切ではない行為も含まれますが、個人の記憶の記録であることを考慮し、掲載しています。


共10 谷保天満宮・うそ替え神事

東日本最古の天満宮「谷保天満宮」の「うそ替え神事」と「おかがら火」に行ってきました。私が伺ったのは11月3日の夕方。日が沈み薄暗くなってきたころ、少しずつ人が集まりだしました。境内の脇にはパイプテントが張ってあり、何やら作業をしている人たちが。これは後々分かることになります。

谷保天満宮(だいぶ暗くなったころ)

まずは、天満宮にお参りします。日ごろの感謝とみんなの健康、仕事が上手くいきますように。ぼちぼちでいいので、お願いします …

次に、社務所へ。「うそ鳥」と「御朱印」を購入しました!「うそ替え神事」とは、うそ鳥を他の参拝者と交換し合うことで、その年の嫌なこと(凶事)を帳消しにして、「うそ」として「吉」に「とり(鳥)替える」という意味の神事だそうです。各地の天神様で行われているようですね。

今回は、私が選んだうそ鳥と別のうそ鳥を巫女さんが交換してくれました。

うそ鳥・おみくじ 、おどけていてかわいい。
うそ鳥の背中もかわいい。

うそ鳥に中に、おみくじが入っていました!「末吉」でした。「少しずつ運が開けます。焦ってはいけません」と書かれていました。これから良くなるなんて、なんだか嬉しくなりました。

お参りしていると背後から「できましたよ~!」との声が聞こえてきました。すると、パイプテントに人だかりが!どうやら、この地域の郷土料理である「にーだんご」が無料で配られるようです。私も行列に並びました。列も進み、そろそろだぞと思ったとたんに、一つ目の大鍋が終了してしまいました。しばらくお待ちください~!とのこと。

地元の方たちが、大釜を使って新しく作り始めました(大釜で煮込んで大鍋に移し保温しながら配る)。赤い服を着た女性が、何かちぎって釜に入れています(下の写真)。これが、にーだんごです。小麦を練って伸ばした生地をちぎって汁に入れて煮込みます。にーだんご=煮団子です。

みんなで「にーだんご」づくり

煮込みあがるまでけっこう時間がかかりそうということで、係の人(地元のおじさん)が、獅子舞を見てお待ちくださいとアナウンスします(言われなくとも、皆、見てるのですが)。拍子よく楽が奏でられ(ピー、トカトカ…)威勢よく獅子と白狐が舞を踊ります。そのめでたさに、ついつい心が沸き立ちます。

この後、ひょっとこ(?)面をかぶった男二人が登場して、滑稽な踊りを舞いながら獅子舞の頭を持って、観客に「こいこい」と手招きをします。そばに行くと、獅子で頭を優しくかんでくれます。

子どもも大人も、獅子に頭をかまれるときは、にこにこ顔でした。ちなみに、イヌも飼い主に抱かれてかまれていました。大人しくしていてすごいなあと思いました。

獅子舞

そうこうしている内に、にーだんごが出来上がりました。ご近所の木から採れたらしい柚子をトッピング。爽やかな香りがします。にーだんごは、すいとんに似ていますが、平たくてコシがあり少し甘みがある感じがしました。汁の方は、しょうゆベースの薄味で、野菜(大根と里芋など)がたくさん入っていました。アツアツでおいしく頂きました!

谷保に伝わる「にーだんご(煮団子)」

18時、観衆からワーッと歓声が上がっておかがら火が燃え上がりました。3メートル程の高さに組み上げた2基の薪の山に点火する庭燎祭は、奇祭の一つと言われているそうです。高く炎が上がり煙が登っていく様は見事でした。

おかがら火(庭燎祭)
おかがら火。この火にあたると悪い病気にならないとの言い伝えが。

今年が終わるにはもう少しありますが、来年はいい年になりますように。縁起の良い一日を過ごせて満足して家に帰りました。

御朱印(おかがら火・うそ替え神事版)

ここのところ忙しく、気もせわしなくブログが更新できませんでしたが、また、少しずつ書いていけたらと思います。

実際のウソの画像です。かわいいです。 ウソ:名前の由来は鳴き声 | 野鳥写真図鑑 | キヤノンバードブランチプロジェクト (global.canon)

(令和5年・東京都)

第121話 夜の訪問者

今年の夏は本当に暑い日が続いた

そんな夜に 玄関の外ガラス戸に あやしい影がうつる

青白く腹を見せながら 黒いサンの上をペタペタと歩いている

ヤモリ?か なんでここにいるのと 聞いても返事はない

それから毎晩やってきては 姿を見せるようになった

私は寝る前に、いることを確認する生活になった

ヤモリは夜が明けると姿を消していた

どこに寝ぐらがあるんだろうか、無事だろうか

雨が降って ちょっぴり涼しくなった夜から

ヤモリはこなくなった

それでも つい玄関にうつる影を 探してしまう

(埼玉県・令和5年・文/72才 女性)

第120話 隣人と猫

うちの隣に大学の先生をしていらした未婚の女性が住んでいたんです。その方は若くしてもう亡くなられたのですが、猫がすごく好きな方でした。自宅には野良猫がいっぱい住み着いていて、その子たちをすごく可愛がってお世話をしている様な人でした。

ある日、その方がうちの前の道路をゆっくり歩いて行かれたので挨拶がてら表に出ると、何かずっと、道路の向こう側を見ているんです。「どうなさったんですか」って伺ったら「猫が…」って言うんです。「猫ちゃんがどうしたんですか」ってまた伺ったら、「もう私、追いかけません」って言うのね。「あの子はもう最後ですから」って。お世話してくれた人から身を隠して息絶えていく覚悟を持って、その子が一人でとぼとぼ、本当にゆっくりなんですけど歩いていくのを、その方は見送っていたんですね。その潔い姿に、私は胸を打たれました。

―潔いとは、猫と人のどちらですか?

二人とも。似た者同士というか、二人に共通する美学の様なものを感じました。この辺りは畑や植林が多くある場所なので、その子は自然の中に帰っていくんだろうなと思いました。その方も胸に来るものがある様子でしたが、でも、もう追わないと決めたようでした。

―猫は死ぬ準備に行ったということですか?

そうです。その方は、猫が死に場所を探しに行くことを猫の尊厳を持って受け止めていたのだと思います。

(東京都・平成20年頃)

第119話 タビとナツと家族の近況

2020年、コロナ禍によりステイホームが余儀なくされた時期に「タビとナツのおはなし」が掲載されました。祖母と孫娘が共作した絵本です。この絵本は評判を呼び、その後も度々登場してくれて、私たちを明るい気持ちにさせてくれました。

今回は、母親のKさんによる3年ぶりの2匹の近況です。ほっこりしますよ~!

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我が家に2匹を迎えて、4年が経ちました。口に大怪我を負っていて、1週間も生きれるのかわからないと言われたなつと、奇跡的に無傷で保護されたたび。

傷にも負けずにミルクをぐびぐび。(なつちゃん)
まっしろで大きな前足がチャームポイント!(たびちゃん)

やんちゃで好奇心旺盛だけどとても怖がりで優しい女の子のたび。時にクール、時に超甘えん坊でやきもち焼き、激しい動きは苦手なお嬢様タイプのなつ。保護された当初は、同じ場所にいたので姉妹なのかと思っていましたが、顔も性格もまったく似ていないので血縁関係はないのかもしれません。

普段はあまり一緒にはおらず、ちょっとしたことで猫プロレスが始まることも多いのですが、どちらかが病院へ行っていたりするととても鳴いたり、何かあるとお互いを気にするそぶりも。なんだかんだで良い同居猫の関係のようです。

たびと一緒に寝たいなつと、ひとりで寝るのが好きなたび。

眠くなった時は私の元へやってきて、モコモコ布で抱っこされてから眠りにつきます。
ふみふみ、ゴロゴロ…
そんなたびをジ〜っと下から見ているなつ。
わたしも!と言わんばかりに肩に乗っかって甘えます。だいぶ大きくなりました!
珍しく一緒に眠れた時は、本当に幸せそうな顔をしているので、こちらもにやにやしてしまいます。
一緒に寝れてドヤ顔のなつ。良かったね!

彼女たちが我が家に来てくれた翌年にコロナ禍となり、重く苦しい日常が続きました。
いつまで続くのか先の見えない生活に、気持ちが追いつかないこともありました。

ただ、たびとなつが同じ空間にいてくれる、私たちを必要としてくれている。
そんな2匹の存在にどれだけ助けられたことか。

あっという間に4歳になり、人間年齢で言うと30代だとか??
妹だったのにずいぶん年上のお姉さんになった、と娘たちと笑っています。

我が家に来て幸せ、と思ってもらえてたら良いなあ。
これからも、ずっと一緒に健やかに過ごしていけたらと願っています。

たびちゃん / 作・Kさんの娘さん(妹)
なつちゃん / 作・Kさんの娘さん(妹)

(埼玉県・令和5年)

第66話 タビとナツのおはなし

第90話 タビとナツのおはなし~番外編・妹より~

第91話 タビとナツのおはなし~番外編・姉より~

第92話 タビとナツのおはなし(2)

第118話 客人を迎えるようにし、これを歓待し、終われば送り返す

先日、高野山に行ってきました。最近、空海の大ファンになって、大師様のお近くに行ってみたくて友人と旅行しに行ってきたんです。

極楽橋駅から急こう配のケーブルカーに乗ってお山に登ってね。そしたら、ケーブルカーすれすれのところでバンビが…、こんな小さな頭でやせっぽちな真っすぐな脚をした小鹿が、真っすぐこちらを見ていたの。友達が「置物がいるよ」って言うのね。あまりにも可愛いから。でも急に耳がピクピク動いて、本当に生きている!って。 たったひとりでそこにいたの。

二日目は、奥之院に行って、そこには大師様がいらっしゃるご霊廟があるんですけど、その霊廟のところをね、ピピピピピ!って、すごい大きな声で本当に一羽だけ、鳥が屋根の上を旋回していたの。すごい、ピピピピピピ!!って、すごい大きな声で。ピピピピピピ!!って。もっともっと、すごいんだけど(笑)。みんな「元気だね」なんて言っていて、そしたら、今度はこちらの私たち人間がいるお堂の屋根の下に入ってきてピピピピピ!って。それでまたお大師様の所に戻って、ピピピピピ! 繰り返すの。旋回してまたこっちに来てって、クルクルクルクル、私たちがいる間、ずっと繰り返しているの。

それでその後、参道を歩いて帰っているとその道が終わる頃に友人が「Fさん、足元見て」って言うのよ。それで見たら、私の足元10センチ位のところに白いカエルがのそのそと来て止まったの。雨蛙より大きくて、真っ白ではないベージュぐらいの色なんですけど。本当だ…と思って、動かないからね、私そのカエルに向かって「どうぞ」って「どうぞ行って下さい」って言ったんですね。分かると思ったから。でも動かないの。全然動かないから「じゃあ、すみませんけどお先に行かせてもらいます」って言って、乗り越えて歩きだしてちょっとしてから振り返ったんですけど、そこから微動だにしないでじっとしていたの。

実は、その鳥とカエルの前日、小鹿に会った一日目の夕方にもうひとつエピソードがあるんです。旅行に行った2日とも曇り時々晴れ間みたいな天気だったんですね。それで、一日目は、高野山の見どころ、金剛峯寺や根本大塔とか一通り見終わって、じゃあまだ早いけど宿坊に行こうって友達と言い始めた時、雨がポツポツしてきて、そしたら目の前に霊宝館があったんですね。霊宝館は明日の予定だったんですけど、雨も降ってきたし時間もあるから今日入ろうって言って入ったとたんに、雨がザーッと滝のように降り始めて雷もゴロゴロすごいんですよね。

そんなだから、友達が「傘買わなきゃ」って。でも何となく私、「傘買わなくていいんじゃない?」って言ったの。そうしている間に、館内も見終わって、さてどうしよう、見終わったし宿坊に行こうかって霊宝館を出たらもう小雨になっていて、これなら大丈夫だよねって言っていたら、晴れ渡っちゃったんですよね。あ、もしかしてこれは霊宝館に呼ばれたのかなって。雷って龍神って言うでしょ? 家に帰ってきて、あれは龍だったんじゃないかなって思ったのは、高野山の資料を読んでいたらある一文を見つけたからなの。

(空海が)晩年に高野山のことをこう述べている。

この山の形勢をいうと、東西はあたかも龍が伏しているようで、東流する川があり……

この文章は、うちに帰ってから読んだんです。それで、高野山は龍にまつわる場所だったんだってわかったんですよ。そしてもうひとつのページにね、

客人を迎えるようにし、これを歓待し、終われば送り返す……

これは空海が生きている時、客人を門まで見送る意味を問われて「客人ではなく客人に寄り添っているお付きの仏心に対してここまで見送りに来ているのだ」と言ったっていうエピソードがあって。これも、旅行から帰って来てから分かったんですけど。

だから、私と友人、二人がね、小鹿にお出迎えされて、鳥と龍に歓待されて、カエルにお見送りをされたのよねって。二人の中ではそういうことになっているんですよ。だから…そういういい旅だったんです。

(和歌山県・令和5年)

第117話 クロちゃんへの手紙

7月、猛暑日の炎天下の中、久しぶりの取材にドキドキしながら住宅街の中の絵画教室に急いで向かった。汗だくで扉を開けると、Fさんがさわやかに向かい入れてくれた。今日は来客者が多いからと、生徒さんが創作をしている大きなデスクの端っこを借りることになった。

始めにFさんからお話を伺い、その後、声をかけて下さったのがAさん。Aさんは、揉み紙に英語の文字を書き、そこに、絵の具を飛び散らせていた。

大した話ではないですが……と言うAさんに私はぜひ!とお願いして取材を受けて頂いた。

小学2年生の夏、生まれたばかりの黒色のウサギを引き取って「クロちゃん」と名付けた。始めは玄関で飼っていたが、夏休みおばあちゃんの家に一緒に連れて帰ることになった。電車を使ったため、暑くて弱ってしまったのか、数日後、自分たちが海に遊びに行っている間に亡くなってしまった。仕方なく、庭に埋めて石を置き、手を合わせていたが、なんだかすごくあっけなくてかわいそうだった。すると、何かしなくては申し訳なく思えてきて、それから毎晩、クロちゃんに手紙を書いた。2年生だったが、いつかこのことを忘れてしまうことは分かっていた。

Aさん/  せめて忘れないうちは手紙を書こうと思って、毎晩手紙を書いて。クロちゃん、かわいそうだったなって。ごめんねっていうことを、その時思って。それを手紙にしていた思い出があります。

私はもう少し詳しくお聞きするために、質問を投げかけた。

―それは何に書いていたのですか?

Aさん/ 1冊のノートに「クロちゃんノート」って名付けて。子どもだから、2~3日に1回くらい書き忘れちゃうのだけど、思い出すと「書かなきゃ」って、一生懸命やっていました。2~3行ですけど。

―どんなことを書いていたのですか? ごめんねとかですか?

Aさん/ そう。元気?とか。話しかけるんです。忘れてないよとか。

―天国のクロちゃんに話しかけるように?

Aさん/ そうそう。自己弁護なんです。昨日は書けなくてごめんねとか。そんなことをしていました。

―「生き死に」に対して敏感だなと思いました。

Aさん/ 書かないと気が済まない。寝る前のミッションにしていました。

―すごいですね。

Aさん/ 自分はそういうとこにこだわっていたんです。無意識に。

―こだわっているっていうのは?

Aさん/ やっぱり忘れると悪いなって思っちゃう。元々、自分の責任だと感じているから、せめて、忘れないよってやっているんだけど。でもいつか……忘れちゃうんですよ。

―それは、もしかして「弔い」みたいな感じですか?

Aさん/ あ、そうそう!そうです。自分なりの。クロちゃんの絵を描いて額に入れて。子どもながらに、絵を描いたり手紙を書いたりして喪に向き合って弔いをしていた。

ここで一回、話は終わったが、Aさんは、この話には続きがあることを思い出してくれた。

Aさん/ 家に帰ってきてからも、しばらく私、悲しんでいたんです。通っていた習い事にも行かずに。そしたら、近所のおばさんが心配して手紙をくれたの。

「クロちゃんのことで悲しんでいるけど、それは生き物を飼う時にもっと心を込めてやらなくてはいけないってことを、クロちゃんが教えてくれたんじゃないかな」

―それを読んでどういう風に感じましたか?

Aさん/ 私が悲しんでいることを真剣に受け止めてくれる大人の存在が心強かったです。手紙を下さって、今から思えば有難いけど、当時はびっくりしました。大人もそういう風に考えるんだなって。そういう風に考えれば心が落ち着くんだなって教えてもらいました。

―とても聡明な子ですね。

Aさん/ お勉強とは別に、そういう悲しみに対しては敏感だったのかもしれません。

小さいAさんは、この出来事を忘れることを恐れていたけど、あれから数十年経って、大きいAさんはクロちゃんを憶えていた。約束を守ったということだ。今日、この話を聴かせてくれたのも、Aさんにとってクロちゃんの弔いの続きだったのかもしれない。

(東京都・昭和60年頃)

本30 夢の猫本屋ができるまで

「夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books」井上理津子/協力 安村正也/集英社/2018年

暑いですね。ただただ暑いです。ある朝の4時ごろ、うちの猫がにゃーにゃー鳴くので、いつもの朝ごはんかなと思って眠いながらもエサを用意して、おーいと名前を呼ぶのですが来ない。こちらも眠いので、よろよろしながら猫を抱きかかえてエサ場まで連れてきて下ろしたのですが、サーっと戻ってしまう。

何だと思ったら、朝4時の久々に吹いてくる涼しい風を、窓際の網戸の前で箱座りして気持ちよさそうに浴びていました。涼しいよと教えてくれたのでしょうか。飼い主も、にじり寄って涼しい風を半分眠りながら浴びました。夜明け前のまだ薄いブルーの光の中で猫が風に当たっている姿は尊い…と少し胸打たれました。

夢の猫本屋さん「Cat’s Meow Books」。店主の安村さんの夢でもあり、猫と本好きにとっては夢のような場所でもあり、起業をしてみたい中年サラリーマンの夢でもあります。しかし、どんな夢もふわふわとは叶わない。試行錯誤の日々をリアルなデータとともに惜しげもなく教えてくれる本です。

本店は東京・三軒茶屋にありますが、仮想店舗(オンラインストア)も楽しいですよ。猫店員たちが本を紹介してくれています。棚(カテゴリー)のタイトルも、ワクワクしちゃいます! あちこちに、おもしろい仕掛けがされていました~!暑い夏に、涼しい部屋で読んでみたい猫本がみつかるかも。

Cat’s Meow Books Virtual Shop β (stores.jp)

ぜひぜひ本店も行っていたいなあ。

本29 ブタノくんのほしみがき

「ブタノくんのほしみがき」/ 小沢正・文 / にしかわおさむ・絵 / にっけん教育出版 / 2002年

7月に入り、暑さが堪えます。スーパーで買ったアイスも帰ってきたときには柔らかくなっていて、美味しさが半減した状態で食べました。冷やしなおす手間も惜しむほど、暑さで私はやられていました…

この辺りでは夏の夜空に星が見えることはまれですが、子どものとき、田舎で見た夜空は本当にきれいでした。たくさんの星が光って見えました。

今回の絵本では、夜空の星がなぜあんなにもピカピなのか…その訳がわかりますよ。

主人公のブタノくんは、大学を出たばかりで就職口が見つからず困っていました。そんな時、ふと見つけた求人の貼り紙に引き寄せられて、星みがきの仕事を始めます。

ボートに乗って夜空に漕ぎ出し、汚れた星を抱えてゴシゴシみがきます。その中でも、一番の楽しみは、ほしみがき仲間と力合わせて、お月様をみがくことです。「ほんとに なんて いい しごとなんだろう」ブタノくんは心の底からそう思います。

でも、大学の同級生に「もっと ちゃんとした しごとを すべきじゃないかな」と言われてしまいます。

そんなことを言われたブタノくん、荒れてしまいます。それ以来、仕事にもいかずケンカしてばかり…

この同級生、アドバイスのつもりか、マウントをとってきたのか。大きなお世話ですが、ブタノくんにとってはショックでした。気持ち分かります。

そんなある日、ブタノくんは、考えます。星を見上げながら…

仕事観は人それぞれだけど、なんていい仕事なんだと心の底から思えるなんて、素晴らしいと思うよ。がんばれ、ブタノくん。

第116話 蛍

中学2年生の夏休み、同級生から毎年帰っている母親の田舎に行かないかと誘われて一緒に行ったんだよね。そこには他の親族も帰って来てて、夜になるとお墓参りに行こうってなったのね。

でね、提灯とろうそくを持ってお墓まで、田んぼのあぜ道を通ってみんなで歩いて行ったの。するとね、その田んぼにね、蛍がいっぱい飛んでるの。

お墓参りを済ませたあとは、帰りに提灯に火を入れるの。ろうそくに火をともして。その提灯を一人ひとつ持って帰るのだけど、火が消えると御先祖様が道が分からなくなって、ついて来られなくなっちゃうからって、一生懸命火を消さないように歩いて帰ったの。

でも蛍が周りにいっぱいいるから、捕まえようってなってその何匹かを捕まえてビニール袋に入れて持って帰ったの。家に帰ってその蛍の入った袋を箪笥の上か柱のフックにかけるかなにかして、その後、寝ましょうってなって布団に入って灯りを消して、しばらくするとその袋から蛍が逃げ出して家の中を光りながら飛ぶわけ。

でも、僕らは捕まえないで、蛍逃げちゃったねって、その蛍が部屋の中を光りながら飛ぶのを眺めていたの。そしたら、いつのまにか眠くなって寝ちゃった。

朝起きたら蛍がもうどこにいるのか分からなかったよ。

(千葉県・昭和50年代)

90 ミカモトわっぱ

菓子工房ルスルスの猫型クッキー「ミカモトわっぱ」

東京は梅雨入りしました。紫陽花の花が咲いています。きれいですね。

以前、紹介しました「菓子工房 ルスルス」さんの猫型クッキー「ミカモトわっぱ」です。

名前の通り、わっぱに入っています。クッキーを包んでいる紙は、浅草の和紙屋さんで作られたものだそうです。厚みもあってしっかりしています。

その和紙は、なんとブックカバーになります。

「わっぱ」は分かりましたが、「ミカモト」って?

「ミカモト」は、これも浅草にある洋服店「THE THREE ROBBERS」さんの看板猫「御神本」さんから頂いたみたいです。お店のブログ↓ とても可愛い。

THE THREE ROBBERS ってこんなこと。 (exblog.jp)

このブログを見てからクッキーを見ると、愛おしく感じます。大事に食べよう。