第108話 川魚釣り

 私は、小学3,4年生から小学校いっぱい、釣りが好きでした。仲の良い近所の友達と、二人で釣りをするようになりまして、入間川、多摩川、この二つをメインにちょこちょこ、月に何度か川釣りに行くようになりました。そうしてる内に、釣った魚を持って帰って、飼うようになり、鑑賞するという趣味に至ります。釣りそのものと、釣った魚を持って帰って泳がせるという、二つの楽しみがありました。

 川魚は、熱帯魚ほどきらびやかでもきれいでもありませんが、季節や時期によって色づく、その変化を楽しむのが好きでした。特に、オイカワのオスは、恋する季節になると、とても美しく色づくのです。親からは、お魚図鑑を買ってもらって、魚の名前を覚えたりして、幼いころの楽しい思い出ですね。

 魚の釣りやすい時間帯というのがあります。それは、魚にとってのお食事タイム。日に2回、早朝と夕方です。私たちは始発に乗って川へ行き、空が薄っすらと明けてきた頃合いから釣りを始めます。1回目は、6時から8時ごろ。次は、夕方5時から6時ごろ、夕食タイムですね。その間も、あまり釣れないなあ、と言いながら、糸は垂らしています。丸一日だらだらと、ひたすら気長に待つのです。釣れなくても、ドキドキしながら待っていられる人が、釣りができる人ですね。これは、性格もあるかもしれませんが、釣れた時の嬉しさ、楽しさを味わった人でないとわからないかな。魚がぱくっと食いついた瞬間の手に伝わるぶるぶる感は、子供にはたまらなく楽しかった。そして、釣ったものを泳がせて、自分で世話をすることが楽しかった。まめにやってましたね。

(昭和50年代・埼玉県)

54 パンダのクリアファイル

パンダのクリアファイル

割烹料理屋の女将さんが、くださったもの。パンダ協会(通称)のクリアファイルと、新聞の切り抜き。私が採話をしていると知って、「朝晴れエッセー」という一般の方から公募したエッセーを、毎回、丁寧に切り抜いて、取っておいてくださったとのこと。大変ありがたく、感謝です。

第107話 猫が飛び降りる夢

 夢を見た。飼い猫が、二階のベランダから落ちて、前足を骨折する夢だ。骨折したその猫が愛おしくてたまらなかった。目を覚ますと、猫はいつも通り朝の日課で、部屋の中を、にゃーにゃー、うろついていた。その話を、夫にしたら、僕なんて五階から落ちる夢を見たよ、と言う。妻である私が、ガラッと窓を開けると、猫は、部屋の中から勢いをつけてぴょーんと飛び出し、そのまま柵の間をすり抜けて、下に落ちて行ってしまった、という。あわてて下をのぞき込んだら、猫は下の庭の芝生に横になって倒れていた。ハーッと思って、猫の名を呼びながら、急いで玄関を出ようとしたところで終わる。実は、この前に現実の出来事で、知らない間にベランダに出た飼い猫が、柵をすり抜け、わずかなでっぱりを歩き、一番端の部屋のベランダまで逃げてしまったことがあったのだ。それを目撃した二人にとっては、トラウマとなった。すぐさま、柵にはヒモを張り、その後、その様なことは起きていないのだが。

(令和2年・東京都)

第106話 闘犬とパンの耳

 中学の同じ柔道部の同級生(中途半端なヤンキーだった)が、家で闘犬用の犬を飼っていた。そいつんちの玄関の前の駐車場には、大きな柵があって、四角く囲まれていて、上は開いている。広さは恐らく2㎡位で、その中に犬小屋があった。

 そいつんちに、たまに学校帰りに遊びに行くんだけど、遊びに行くと、その犬に餌をあげる。大きな銀色のボウルに食パンの耳を山盛りにして、柵の中に入れるんだけど、まず上からボウルを入れて、柵の間からもう片方の手でそれを受け取り、下まで下ろす。「ちょっと、お前もやってみろよ」と言われるんだけど、怖いわけよ。ただでさえ、犬嫌いだしさ。でもとにかく、ビビりながら餌を下ろして、ワッと手を引っ込める。実際、犬は、のそのそとやってきて、もそもそと食べるだけ。飛びつくことはないんだけど。

 でかい犬なのに、パンの耳しか食べていないので、お腹がすかないのかなあと思ってた。毛は茶色で、とにかく大きかった。犬種は聞いたような気がするけど、覚えていないんだ。

(昭和60年代・神奈川県)

家の中のどうぶつ -51-

「牛たちの知られざる生活」
今年は丑年

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

コロナの影響もあり、なかなか更新できませんが、今年も、少しずつでも、色々な方々のお話を掲載できるよう、努めてまいります。どうぞ、気長にお付き合いいただけましたらありがたく存じます。

今年も、たくさんの方のお話が聴けますように。

 2021年「採話・どうぶつと人」プロジェクト

第105話 森の子・モリコちゃん

モリコちゃんは、だんなの妹からもらったシマリスで、森の子という意味。20歳(当時)の娘が名付けた。

 我が家は、動物好きの家族ではないから、猫や犬も飼ったことがない。大抵、もらったから飼うという感じで、主に面倒を見るのはだんなで、私はものぐさだから、一切やらない。

 モリコちゃんをもらった時、寿命は4~5年って言われていて、ちょうど4年目の冬場、ぐてーっとなっちゃった。死んじゃった?と思ったら、だんなが、モリコちゃんを両手で包んで、温めて、そしたら、30~40分くらいで、息を吹き返した。娘は、お父さんが生き返らせた!と尊敬して、よくやったー!みたいな。(お父さんは、普段、尊敬されていないけど、2~3年に一度、尊敬される。)モリコちゃんは、寒さのために冬眠をしていたんじゃないかな。それから、2~3か月後、またぐてーっとなっちゃって、温めてみたけど生き返らなかった。本当、寿命通りだった。

 うちのだんなは、かまうから、噛まれて血を出したりしていたけど、懲りずにかわいがっていた。モリコちゃん。

(平成10年代・東京都)