本16 「ちいさないきものと日々のこと」

編集/もりのこと・渡辺尚子
装画/ 片桐水面
2018年初版・もりのこと文庫1

いきものとの暮らしは、

さもない毎日が楽しいし、

いなくなってからもまた、

思い出すことがたくさんあって、

良いものだと思う。

「ちいさないきものと日々のこと」より抜粋

ページを開いてすぐに記してある言葉です。その通りだなあ、と思います。

こちらは、東京・西荻窪にある「もりのこと」の特別企画展「君と暮らせば-ちいさないきものと日々のこと」(2018年2月)を記念して編まれたもので、15人による15のエッセイが寄せられています。

それらエッセイは、友人からそっと聞かせてもらったようなお話で、ちいさないきものとの大切な日々が、この困難な時代の、ひとつの灯りになるのかもしれないと、希望を少し感じるのです。

この冊子には、楽しいお話もあれば、悲しいお話もあります。けれども、深い悲しみのなかにさえ、我々を照らしてくれるあえかな光が宿っているように感じられます。その光が、古来よりずっと、人といきものがともに暮らし続けられた鍵ではないかと、ふと思うのです。

「あとがき」より抜粋

我が家のちいさないきものたちは、今日も、よく食べ、甘えて、騒ぎ、私の隣に座ってくれる。あえかな光でいてくれる。

片桐水面さんの装画もすばらしく、数枚のカラーの挿絵も貼り付けられていて、誠実で美しい冊子だなあ!

もりのこと → もりのこと (morinokoto.com)   

もりのことonlineshop → もりのこと onlineshop (stores.jp) 

ウクライナの動物たちへ

公益社団法人 アニマル・ドネーション → ウクライナの動物保護&寄付情報

本15 「いきものたちはわたしのかがみ」 

ミロコマチコ展「いきものたちはわたしのかがみ」図録(ミロコマチコ・2020年9月発行・朝日新聞社)

馬堀海岸駅からバスに乗って海岸沿いを走り、横須賀美術館へ。展覧会場に入る前に、ちょっと寄り道して、建物の横の道を少し登り、山の広場に行くと、まだ若い桜の樹々が満開の花を咲かせていました。そこから続く屋上広場からは、青い海が一望。美術館は、観音崎公園の中に位置していて、豊かな自然を楽しむことができました。

その環境の中で「ミロコマチコ展」を観れたことは、幸福だったように思います。ミロコさんの過去から現在に至るまでの作品を観ていると、描いているのは主に動物(あるいは植物)なんだけれど、その動物の特性を持ったエネルギー体に見えてきました。

その流れで、近年の奄美大島に引っ越してからの作品を観ると、実在の生きものを描いてはいませんが、やはりこれも、目には見えないけれど、なにか気配(エネルギー)を持った生きものが、この世界に混在して生きているように見えてくるから不思議です。

目に見えるものと目に見えないもの、土や風、水や光、動物も植物も、混在して地球は循環しているのだなと思うのです。人も混じって。

本14 「けだらけ」

けだらけ(ミロコマチコ・2014年初版・筑摩書房)

ミロコさんの絵が一枚、わが家には飾られていますが、私はてっきりウサギだと思っていたんです。ある日、それは山猫だよと指摘されて、そうだったかと。よく見ると、確かにウサギでは無いと分かります。そもそも、買ったときに山猫と分かっていたはずなのに、いつのまにかウサギにすり替わって、でも、気に入って眺めていたんですね。それがなんであるか分からないのも、私には良かったのかもしれません。ミロコさんの魅力は、そこにあると思うのです。

現在、ミロコさんの展覧会が、横須賀美術館で開催されているようです。新作は、もっと、なんであるか分からないような不思議ないきものたちが、描かれているみたいです。楽しみです。

横須賀美術館 → ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ

以下のギャラリーでも、4月5日から、個展が開かれるそうです。

リクルート クリエーションギャラリーG8 → ミロコマチコ展「うみまとう」

81 クマのえんぴつ削り器

EISEN(アイゼン)のベアシャープナー/ドイツ

陽の光を集めたようなベアシャープナーです。小さなものですが、ちょっと嬉しかったり、その色のおかげですぐ見つかるので、便利でもあります。

3月に入り、春めいて暖かくなってきました。先日、養蜂園にお伺いする機会がありましたが、蜜蜂たちも、ここ数日で急に忙しく働き始めたようです。

私もグリーン色の植木鉢を買ってきて、窮屈そうだった植木の植え替えを、いそいそとやりました。そうして、ベランダの植木を眺めていると、小さな花を咲かせ始めたものもいれば、枯れて見えた鉢から新芽を出したものもいて、確実に春はやって来てるなあと感じます。蕾が膨らみはじめた桜の樹を見上げたり、その下に植えられている菜の花を観賞したり、散歩している犬の浮かれように目を細めたり、始まったばかりの春を楽しみたいなと思います。

80 猫の日に因んで

2022年2月22日は、特別な猫の日ですね!
食料品売り場や雑貨屋にも猫にちなんだコーナーが色々ありました。そこで見つけたカフェインレスのコーヒーバッグです。美味しかったです。(三毛猫珈琲本舗/カフェインレス井戸端ブレンド)
紅茶もありましたよ。(カレルチャペック ヌワラエリヤ)一息ついたら、猫たちに日ごろの癒しを感謝。世界中の猫たちに幸福あれ!

本13 「猫光線」

猫光線(武田花・2016年初版・中央公論新社)

媚がない。作者である武田花さんも、写っている猫たちも。

「怪しいものじゃございません。なんかおいしい物、面白い景色、立派な猫のいる所、この辺にありませんかしら?」心の中で言いながら、町中を歩き回っている武田花さんは、1990年に木村伊兵衛賞を受賞した写真家さんで、町並みと共に野良猫を撮影し始めた先駆けとも言える存在です。また、エッセイも、独特な世界観で、嗅覚の鋭さか、そもそものお人柄ゆえなのか、なぜこの様な変わった出来事(人たち)に出会えるのか、きっと物怖じしない眼をお持ちだからじゃないかしら…と思うのです。このフォトエッセイの中では、猫への誉め言葉として、可愛いではなく「立派な猫」というような表現を使っていて、写真に写っている猫たちも堂々と、一匹の個であることを意識させます。

こちらの本はコンパクトサイズなので、もっとがっちり武田花の世界観が堪能できる写真集やエッセイ集もお勧めです。べったりしていない世界観がワクワクしてすっきりして。今と外れた様な景色や人や立派な猫たちが、一般の価値とは別の豊かさを持っていることに、安心します。

本12 「作家と犬」

作家と犬(編集/平凡社編集部・2021年初版・平凡社)

いつも猫なので、今回は犬の本。

犬を飼ったことがない私は、散歩中の、道ですれちがう犬たち(と飼い主さん)を見たりしています。好奇心いっぱいの、あるいは、喜びでいっぱいになっている犬たち。トットットと走っていく犬たち。抱っこされて、あるいは、カートに乗って眺めている犬たち。日常の光景の中に、人と共に歩いてる犬たち。深く人の人生に関わっているのだろうなあと想像します。さすが、犬。

この本は、犬が日常に滑り込んできて、情が生まれ、互いに関わっていく様子が、それぞれの作家の目線で描かれています。その何人もの目線を追体験していると、「人と犬」との関係が、ばんやりと浮かび上がってきて、なんだか切ない気持ちになって、犬は人にとって特別な存在であるな、と改めて思ったのです。犬たちよ、心寄せて、いつも私たちのそばにいてくれてありがとう。

エッセイ・漫画・詩・俳句・写真など、あるゆる方面から、犬エピソードが表現されていて、楽しめます(もちろん、犬嫌いの人も登場します)。それぞれの犬が作家の文章(や絵や写真)の中で元気に生きています!

79 鳥のかたちクッキー

鳥のかたちクッキー/菓子工房ルスルス

先日、東京にも雪が降りました。屋根にも、草木にも、傘にも、雪がうっすら積もりました。菓子工房ルスルスさんの鳥のかたちクッキーも、雪が降り積もったようです。少しまぶしい朝の雪みたい。きれいな白です。その日、東京の割りに寒くて、うちの猫は、湯たんぽの上で丸まっていました。

新年になりました。力を抜いて、のんびりやっていきましょう。そうもいかないことも多いですが、気持ちだけはそんな感じで。

おいしい

78 虎笛

今年は寅年
鏡餅と虎笛(弘前)

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

もう少し縁起のいい顔をしてくれていたらと思うような、あるいは、中島敦の「山月記」を思い起こしてしまうような、渋い顔をした虎笛です。圧が強くない感じがいいですね。この虎笛の底には、「弘前」/「37.1」と書いてあります。

うちの実家だけかもしれませんが、買ってきた製品の裏に、買ってきた日付を書いていたことを思いだしました。あの記憶の中だけにあるこげ茶色の低いテーブルの裏にも日付が書いてあったなあ。それ(日付)を見ると、タイムマシンに乗ってきたような、不思議な年月の経過を感じます。またやってみようかな。年月が飛ぶように過ぎる昨今、その時のしるしが貴重に感じられます。

昨年も、お世話になりました。

今年も、どうぞ気長に、お付き合い頂けましたら、ありがたく存じます。

よろしくお願い致します。

77 ハニカミヤさんのイラスト

八咫烏の道案内(絵・ハニカミヤ)
タイトル不明(絵・ハニカミヤ)
「空イロ ナニイロ 冬」展 ポストカードより

私は、子どもがひとりで歩いている姿が、大好きです。大事なものを抱えて。どこへ行くのかな。

十数年前に、荻窪にあった「ひなぎく」というカフェで、初めてハニカミヤさんの作品(イラストと人形)を見た時、あっ、と思いました。オリジナリティがあって、懐かしく、それに、奥底に、何かがあった。その後、作家さん本人(ご夫婦)にお会いする機会を得て、作品とたがわない空気感に、感動したことを覚えています。その柔らかい感性は、はにかみ屋のお人柄の中に、そっと守られてきたのかもしれない、と思いました。

ハニカミヤさんのイラストは、淡い色彩と繊細な線で描かれています。ネットの画像では伝えきれないのが、悔しい限り。ぜひ、実物を近くで見て欲しい。その世界が伝わりますように。

ハニカミヤさんのHP → ハニカミヤ

        Twitter →@hanikamiya10

<ハミカミヤ個展 -イラストと人形- 空イロ ナニイロ 冬>

展示期間・ 2021/12/15-12/26 場所・ ranbu(大阪市) → ranbu